serablog’s blog

そうだね、確かに。

【誰も知らない】是枝裕和

今週のお題「名作」
感想(あらすじではないので端折ってる部分がかなりあります)

巣鴨子供置き去り事件(1988年)をモチーフにしたドキュメンタリー映画
2004/8/7公開

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映画の冒頭で母親は長男の明くんの事を‘賢い子’と語っていたが、大人にどこの小学校に通ってるの?と聞かれた際、「立教小学校」と答えるように仕向けられていたり、お金だけ渡して家事、買い物、兄弟の面倒を見させる辺り、彼は母親にとって都合の良い「物」として仕上がっていた。

子供と戯れて遊んだり、愛情表現をする良いお母さんという印象だったが、その愛情と思わしきものの正体は責任を伴わない、「モノに対する接し方」であった。子供に対して愛情を持っているのならば(自分より子供を優先するとまではいかなくとも)、最低限学校に通わせてあげる、したい事をさせてあげる、自立した大人になるまで面倒を見る。これが愛情であって、撫でたり褒めたりする、まるでペットのような扱いは愛情ではないと言う事を認識させられた。

個人的には、母がクリスマスの時期に帰ってくると言ったきり帰ってこなかった後、正月を迎えて、明くんが弟たちに心配させまいと、母からお年玉を貰った風にしようとし、生活費をそれぞれポチ袋に入れ、近所のコンビニで働くサナエさんに、兄弟の名前それぞれ‘’〇〇へ”と書かせていたのがグッと来た。

明くんが書いたら字で母じゃないとバレてしまう為女性に頼んだ。しかし、長女の京子ちゃんだけは、昨年のお年玉の「京子へ」と今年のサナエさんの偽造ポチ袋の「京子へ」の字を見比べられ、見破られていた。

お金はほとんどそこをついてきた頃、電気やお湯は止められていたものの、水はみんなで近所の公園からバケツで飲み水を運んで、食べ物はコンビニの人からご厚意で廃棄を頻繁に貰って居たので、「こんな風になんとなくでも、この子達は生き耐えられる」と感じていた矢先、妹ユキの突然の死に、こちらとしては希望からどん底に落とされたような気分で居たが、彼ら兄弟は涙を流すこともなく、キャリーケースにユキを詰めて森に埋めた。彼らにとって死とはなんなんだったのだろう、死に対し悲しみを感じる事さえ贅沢なのではないかと考えた。


映画を観終えたあと、映画のサウンドトラックを聴きながら感想を書くのが日課だったので記録用にうpしてみます^ω^)ノ"